===== RMG流エッジトレーダー活用法 =====

「鞘取りなんて難しくない」
誰でもできる、レイダーズ流「テクニカル鞘取り」入門

≪第2回≫

 これまで紹介してきた「日柄計測による鞘取り」、「振幅測定による鞘取り」のいずれも、いかにして客観的な判断基準を鞘取り分析に持ち込むかという例を示したものであった。一般のチャート分析に用いられるのと同じテクニカル指標を用いて、鞘のチャートも分析できるということが、これで良くおわかりになったのではないだろうか。
さて今月は、これまでのシリーズで紹介した銘柄の鞘の変動が、その後どうなったかについてフォローしてみることにする。例題としてお見せする場合は、説明しやすい部分だけになりがちだが、実際の売買においては、そうそう都合の良い局面ばかりが出現するわけではない。だからその後の値動きを追ってみることで、現実の売買がどのようになるのか、あるいは人間の持つ機能の中で、一番価値のある「臨機応変」をどのように使っていくべきなのかを、学んで頂きたいと思う。

<灯油とガソリンの鞘のその後>
 日柄計測の例として、以前灯油とガソリンの鞘取りの例を示した。あのときの日付は、2月8日だったから、現在(5月17日)の段階では、約3ヶ月の時間経過があったことになる。まずはチャートをご覧頂きたい。

灯油−ガソリン、先限つなぎサヤチャート


 前回お見せしたチャートは2月8日の時点だったので、そのポイントを破線で示してみた。つまり破線から右が、前回紹介してから以降の鞘の変化を示したものである。ご覧になれば一目でおわかりのように、灯油とガソリンの鞘は、その後もずっとアップトレンドが継続している。しかもあのとき予告しておいたように、鞘の角度はますます右肩上がりとなっている。
 図中の赤と青の点は、これまで説明してきたように“EdgeTrader for Spread”(鞘取り分析も可能なチャート分析ソフト)の持つ、5BarスイングHLで自動的に描かれているもので、下の段のスイングHLトレンドインデックスは、赤と青の点の位置関係に基づいて、自動的にトレンドの認識を行っている。プラス1はアップトレンド、マイナス1はダウントレンド、0はもち合いを示している。つまり灯油とガソリンの鞘は、昨年の11月終わりから現在までずっとアップトレンドが続いていることになる。なんと見事なトレンドだろうか。単一の銘柄でさえ、これだけ見事なトレンドを描くものは珍しい。しかし、鞘のチャートを描いたことが無い人には、これは永遠に見えない値動きなのである。これを知らないとはもったいない限りである。

 灯油とガソリンの鞘取り売買のタイミングを計るのに日柄の計測を行っていたのだが、その後の値動きでも顕著な日柄のパターンは見られているのだろうか?前回からの続きで順番に計測してみる。
 まずカ〜キは9日、キ〜クは9日、ク〜ケは2日、ケ〜コは7日、コ〜サは7日、サ〜シは5日、シ〜スは2日、ス〜セは5日、セ〜ソは9日、ソ〜タは4日、タ〜チは6日、チ〜ツは6日といった具合である。なんとなくパターンがありそうで、無さそうに感じる?それはやはり観察が足りないと言うべきだろう。問題は仕掛けのタイミングだから、最大公約数となる仕掛けの日を、高値(スイングH)からの日数で探し出すことになる。前回紹介した2月8日以前のアップトレンドの期間では、5BarスイングHから5日 経過したあたりがベストタイミングだったが、実は今回もそのパターンはほとんど崩れていない。これが2日だったり20日だったりするのならともかく、プラスマイナス1〜2日程度のずれがあるのは仕方がない。しかしそれでも実際のエントリーに際しては、もう少し良いタイミングを確認する方法は無いのだろうか?
 チャートを良くご覧になって頂きたい。日柄だけではなく、縦方向の振幅幅も価値ある情報として利用することで、もう少しエントリーの精度を上げることが可能になることがわかるだろうか?これはTOPIXと日経225の鞘取りのところで紹介した方法だが、鞘の変動は10日加重平均(グリーンの線)に近づいて、そして再び離れていくというパターンを繰り返していることがわかるだろう。つまりスイングHから5日前後のあたりをエントリーのタイミングとして考えながら、加重移動平均との距離を考慮して、この距離が近づいているかクロスしていればエントリーを行っても構わないという判断がつく。このようにして、日柄と振幅という、ヨコとタテの変動パターンを分析することで、より精度の高いエントリーポイントを見出すことが可能になるのである。

<見えないものを写し撮る>
 チャート分析は、ある意味で芸術だと言っても間違いではないだろう。豊かな感性が無ければ、微妙な変化や相場の呼吸を感じ取ることはできない。しかしその芸術の世界に科学を持ち込んできたのが、テクニカル分析法である。私もその一人で、可能な限り人間の頭脳の持つ曖昧さを排除しようとして、テクニカル分析を基本に相場分析を行っている。しかしこれだけ科学が発達した現在ですら、世の中の全てを理屈で説明できないのと同じで、相場も画一的なテクニカル分析の適用だけでは答えを見出すことはできない。大切なことは、いつの時代もどの世界においても同じで、人間の持つ最も優れた才能である感性をフルに使うことである。感性豊かな人は発想が柔軟だから、ひとつのものをあらゆる角度から観察することが可能である。その結果として「臨機応変」な対応が可能になってくるのである。
 綺麗なだけの写真は、確かに事実を全て写し撮っているのだけど、見ていてつまらない。ピンボケであっても、そこからほとばしり出る迫力を感じさせる写真にとって、真実の全てが写っているかどうかなどということは問題ではないのである。目には見えない真実の瞬間を切り取っているからこそ、写っていなくても鮮やかな情景が直接脳裏に浮かぶのである。見えないものを見えるように写し撮る道具がテクニカル分析だとするなら、その道具を使って見えない情景を見事に切り取れるかどうかは、当人の感性によるのである。

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