===== RMG流エッジトレーダー活用法 =====

「鞘取りなんて難しくない」
誰でもできる、レイダーズ流「テクニカル鞘取り」入門

≪第3回≫

 これまで灯油とガソリンの先限つなぎ足に基づく「日柄計測による鞘取り」と、TOPIXと日経平均の「振幅測定による鞘取り」を紹介してきた。これらは、限月間の鞘取りと、相関性の高い市場間の鞘取りの例であったが、共通していた特徴としては、いずれも鞘がトレンドを描くというものであった。そのために、鞘のトレンドの方向を味方につけ、一時的に鞘のトレンドとは反対方向の押しや戻りが入った局面から、再びトレンドの方向に向けた鞘の変化が見られるときに仕掛けるというのが基本だった。つまり、鞘取りと言えども、鞘のトレンドという優位性を利用して、トレンドフォローの売買を行っていくものであった。
 それに対し今回紹介するのは、本来の理想的な鞘取りの姿に近いもので、鞘にトレンドが全く出ないものである。このような鞘の値動きを見せる銘柄で鞘取りを行う場合、これまで基本としてきたトレンドフォロー的な売買とは全く反対の、逆張りエントリーが有効になる。この売買手法の最大のメリットは、通常では不利に働くスリッページが、有利に働くと言う点である。

<東京工業品取引所VS中部取引所のガソリン>

 まずは鞘の値動きのチャート(図1)をご覧になって頂きたい。これは東京工業品取引所のガソリンと中部取引所のガソリンの、先限同士の終値に基づく鞘を描いたものである。このチャートをご覧になれば、これらの鞘の変化は、常にある一定の水準を保って、上下にブレては元の水準に戻っていることがおわかりになるだろう。こうした鞘の変化が示しているのは、この2銘柄の値動きの相関性が非常に高いということである。
 通常のチャートプログラムであれば、このように単純に鞘の変動を折れ線グラフで示すだけなので、今回のような値動きにおいて鞘取りを行う場合、単純に行き過ぎたと判断されるところで仕掛け、ゼロ水準に戻ってきたら利食うというアイデアしか浮かばないであろう。しかしこの仕掛けは簡単なようで、実は相当芸術的なセンスを要求される。行き過ぎが発生していると判断する客観的な手法がないので、仕掛けのタイミングは経験とカンに頼らざるを得ないからである。
 しかしEdgeTrader(www.investechno.comを参照)を用いれば、鞘のチャートに対し様々な分析を行うことができるので、非常に柔軟な売買方法が可能になる。行き過ぎたと判断するには、ある手法で基準となる水準を定め、ある一定の方法によって基準となる水準からの距離を計測してやる必要がある。
 こうした考え方で客観的な水準を提供してくれる分析方法は、いくつか存在しているが、今回鞘チャートの分析に用いたのはボリンジャーバンドである。チャート(図2)に示したのは、20日移動平均線(ピンク太線)の上下に、同期間の1標準偏差(緑)、2標準偏差(オレンジ)、3標準偏差(水色)のバンドを描いたものである。

<売買の技法>

 売買のアイデアとしては、3分割仕掛けを基本とする。つまり1標準偏差を越えたら1/3、2標準偏差で更に1/3、そして3標準偏差を越えたところで、最後の1/3を仕掛けるのである。もし寄付きでいきなり3標準偏差を越えてきた場合は、一度に全部のポジションを仕掛ける。利食いは20日移動平均線を越えてきたところで、全部一度に行う。このとき重要なことは、標準偏差も移動平均線も、全て前日の値を用いるという点である。なぜなら、当日の終値がついてから初めて当日の指標の値を計算していたのでは、実際のエントリーには間に合わないからである。EdgeTraderではこうした問題を解決するために、ボリンジャーバンドも移動平均線も、全て指定の日数でスライドさせることができるようになっている。図2のチャートに描かれているものは、エントリーや手仕舞いの発生ポイントを明確にするために、1日分右方向にスライドさせてある(前日の指標の値が、当日の鞘の上に描かれている)。
 EdgeTraderの更に特筆すべき点は、図3に見られるように、鞘の始値と終値に基づくローソク足を描けることである。図2と比較してみればその違いは歴然としてくる。鞘の値を求める際に、4本値から日中の鞘の高値と安値を計測することは難しいが、始値と終値は比較的正しい水準で表示される場合が多い。今回の東京と中部のガソリンの例でも、東京はザラバなのに対し中部は板寄せなので、厳密にはリアルタイムの鞘の水準はこのチャートのものとは若干ズレている。それでも実際には大半のトレーダーは終値ベースの鞘のみに基づいて、鞘の水準を判断し、売買を行っていくしかない。しかし始値を書き加えてみることで、実は寄付きの水準も非常に多くの売買チャンスを提供していることがわかるようになる。つまり、終値に基づくボリンジャーバンドを参考にしながら、寄付きあるいはそれ以降の日中の値動きで仕掛け、そして手仕舞いを行っていくのである。
 損切りの水準も、このボリンジャーバンドを参考に決定できる(図3参照)。過去のデータから見て、終値の鞘が5標準偏差(黄色太線)を越えているケースはほとんど見られない。特に最近はこうした鞘取りを狙う売買が増えてきているために、益々鞘の変動幅は安定傾向にあり、値幅が減少した分だけ、リスクは軽減されてきている。
ひとつだけ注意してもらいたいのは、これはあくまでも期先限月をつないだデータで鞘チャートの表示をしていると言う点である。実際には先限つなぎだけではなく、一代足データで同様の鞘チャートを表示し、分析を行っていく必要がある。しかし新しく生まれた期先限月においては、分析を行うに十分な日数が不足しているため、ここで示したようなテクニカル分析を採用することは不可能である。そのために、どうしても先限つなぎ足での鞘の変化を参考に見ていく必要が出てくるのである。







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