===== RMG流エッジトレーダー活用法 =====

「鞘取りなんて難しくない」
誰でもできる、レイダーズ流「テクニカル鞘取り」入門

≪第8回≫

 (先月号から続く)
 先月号では、それまでは逆張り的な値動きしかしていなかった鞘に、突然トレンドが発生してしまうケースにおいて、どのように環境変化の認識を行うかということが課題として残されていた。これまで利用してきた、スイングHL等のトレンド認識の手法では、あくまでもトレンドの方向性しか定義しないので、同じレンジで往復する通常の鞘の変動においては、ダマシが多発してしまうからである。そこで今月は、どうすれば鞘の値動きに明確で強いトレンドが発生したか、すなわち鞘のトレンドの強さを客観的に認識することができるかについて、検証を行ってみたい。

<トレンドの強さを定義する>

 まず最初にお詫びしておきたいのだが、先月号で「東京灯油と中部灯油の先限つなぎ鞘」として紹介した鞘チャートは、実は先限つなぎ鞘ではなく、両市場の11月限の鞘であった。だから、実際には先限つなぎ鞘では、あれほどのトレンドは発生しておらず、最終的に元の狭い変動に戻っている。つまり東京と中部の鞘においては、個々の市場特有のファンダメンタル的な影響を受けにくく、流動性が高い先限限月どうしでは、やはり乖離した鞘は元に戻る確率が高いのである。
 ただ、一代限月の鞘の変化を追いかけていくと、納会が近くなるにつれ、明確なトレンドが現れるケースが多く見られる。こうした期近に回ってきた限月の売買は、流動性が低いので大きな枚数で売買することは不可能だが、小さい枚数で売買するのであれば、決して売買できないわけではない。売買できる枚数が少ない代わりに、変動幅が大きいのが期近限月における鞘取りの特徴である。そこで、今月号ではすでに納会落ちしてしまった11月限に代わり、12月限どうしの鞘の変化を用いて、検証を行ってみることにする。

 話を元に戻そう。ここで求めたいのは、トレンドの方向性ではなく、トレンドの強さであると先月号で説明した。明確なトレンドが出ていることが明らかになれば、それまで採用していた逆張り的手法をやめて、トレンドフォロー的な売買手法を採用することが可能になる。
 そこでこれに最も適した指標として、ADXを採用してみることにした。ADXはワイルダーが開発したテクニカル指標で、トレンドの強さを定義することを目的としている。ADXがユニークなのは決してトレンドの方向性は定義しないという点である。これはボラティリティーの考え方と共通である。そのため通常はトレンドの方向性を示すDMIと一緒に描かれることが多く、ADXでトレンドが発生したことを確認すると、DMIでそのトレンドの方向を確認し、トレンドフォローの売買を行うというのが一般的な利用法である。
 EdgeTraderにもこのADXとDMIはセットの指標として採用されているので、今回紹介するチャートにも両方が一緒に描かれてしまっているが、トレンドの方向性の認識についてはスイングHLの方が正確であるので、ここではADX(下段の水色太線)の変化のみに着目して頂きたい。ADXの計算期間は14日で、水準線は10%となっている。つまりADXの値が10%を上回ってきたら、強いトレンドが発生していると考えられるのである。通常の値動きではこの水準はもう少し高く、20〜30%が適正なのであるが、鞘の変動は単一価格の値動きと比べると低いために、水準線のレベルを半分以下に下げてやる必要がある。


<トレンドモードにおける売買ルール>

 ADXが10%を越える日が3日以上経過し(1日だけ越えて戻ることも多い)、強いトレンドが発生したことが明らかになった場合、そこから先は先月号で紹介した逆張り的な売買ではなく、トレンドを意識した売買にルールを変更することになる。反対に、ADXが10%以下に戻ってきた場合も、3日以上それが継続して初めて、トレンドモードから逆張りモードに戻ったという認識をして頂きたい。
 トレンドモードが継続している間は、5日スイングHLで定義されるトレンドの方向(中段のスイングHLトレンドIndex:+1がアップトレンド、−1がダウントレンド、ゼロが保合いを示す)に沿った、一方行の売買のみを行う。今回から、10日加重平均線(青太線)が新たに加わっているが、これはトレンドとは逆方向の値動きを正確に捉えるためである。

 仕掛け=3分割で仕掛ける。トレンドの方向とは逆方向に、10日加重平均線(青太線)を越えたら1/3、20日移動平均線(ピンク太線)を越えたら1/3、そして1標準偏差(黄緑線)を越えたところで、最後の1/3を仕掛ける。もし寄付きでいきなり1標準偏差を越えてきた場合は、一度に全部のポジションを仕掛ける。(標準偏差も移動平均線も、全て前日の値を用いる)
 利食い=トレンドと同一方向の2標準偏差(オレンジ線)を越えてきたところで、全部一度に行う(1標準偏差と2標準偏差に分割して利食いを掛けても良い)。
 損切り=トレンドとは逆方向の3標準偏差(水色線)を、終値ベースで越えたら損切る。トレンドが転換したら損切りドテン。トレンドモードから逆張りモードに戻ったら(ADXが10%以下に戻ってきたら)、一旦ポジションを手仕舞う。

 ここで示したルールが絶対的なものだとは決して思わないで頂きたい。おそらくもっとうまく機能する売買技術はいくらでも存在しているだろう。しかし大切なのはいつも言っているように、背景にある考え方である。ここでの考え方は、鞘取りにおいてトレンドモードと逆張りモードを認識し、その環境に合った売買戦略と技術を採用していくというものである。こうしたモードの認識は、その他の売買においても応用が利く考え方だと思っている。まだまだ研究の余地があるが、特に短期売買において、レジスタンスモードとトレンドモードを区別して、逆張りと順張りを使い分ける手法は、今後ますます重要になってくるのではないだろうか。


図1:東京灯油12月限−中部灯油12月限


図2:東京ガソリン12月限−中部ガソリン12月限



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