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「鞘取りなんて難しくない」
誰でもできる、レイダーズ流「テクニカル鞘取り」入門

≪第9回・最終回≫

 これまでシリーズでお届けしてきた「テクニカル鞘取り入門」も、そろそろひと段落をつける時期が来たと考えている。鞘取りという分野は、通常の売買手法と比較すると、特別な職人芸の世界として扱われる傾向が強かったのであるが、ここで紹介してきたテクニカル分析を鞘取りに適用する手法であれば、比較的理解しやすかったのではないかと自負している。しかし、肝心のテクニカル分析について、基本的な考え方が理解されていなかったなら、こうした売買手法の紹介そのものが無意味なこととなる。そこで、シリーズの締めくくりとして、今回はここで用いてきたテクニカル分析の原点にスポットを当ててみることにする。

<テクニカル分析とは何か>

 テクニカル分析の基本は「単純化」と「再構築」であると私は考えている。これは言葉を変えれば、「帰納法」と「演繹法」とも言えるだろう。市場の変動は、ひとつひとつを詳細に捉えると、実は極めて複雑である。複雑なものを複雑なまま理解しようとすると、選択肢が膨大に増えてしまい、結果として結論が出ないということになってしまう。それを避けるために、目の前で起こっている状況を、理解しやすいシンプルな形に変換してやることが、テクニカル分析の第一歩である。
 例えば、私がよく利用するスイングHLを使って価格の突出した頂点を見出す方法は、そもそも値動きのパターンを単純化することが目的である。ここで言う値動きのパターンとは、トレンドの定義にダウ理論を適用するために、値動きを単純化するという意味である。文章で説明してもわかり辛いので、実際にチャートをご覧になって頂きたい。
 図1は、ガソリンと灯油の、2001年7月から2002年4月までの期間における、先限つなぎ足終値ベースの鞘の変動である。これをパッと見ただけでは、10月ぐらいまでは上がって、その後は下がったという認識はできても、どこから下げ始めたのかを明確に定義することはなかなか難しい。
 そこで、この鞘の変動に「5BarスイングHL」と「スイングWave」を適用して、もっとシンプルな形に作り直したのが図2である。ここではスイングHLに関する詳細なルールの説明は割愛させて頂くが、要するに、このようなシンプルな波動の形に置き換えることにより、どこでトレンド転換が発生したのかが明確になってくるのである。ここで行ったシンプルな波動パターンへの置き換えが「単純化」である。
 そしてこのようにして置き換えられた単純なパターンから、最終的な結論を導き出すためには、現在の状況をもっとわかりやすい形で表現してやる必要がある。その目的で作成されているのが、図3の一番下に描かれている「スイングHLトレンドIndex」である。これは、トレンド転換が発生したポイントを明確に示すために、トレンドの方向を+1(アップトレンド)と−1(ダウントレンド)、そして0(保合い)で示した指標である。
 私にとって売買のための意思決定に必要な情報は、チャートの上部に示されている値動きではなく、実はこの単純な+1と−1の指標である。この作業こそが「再構築」なのである。上部のチャートを見ていてはなかなか判断がつかなかったと思うが、これを単純化し、その単純化されたものに基づき、最終的な判断が下せる形に作り直してやる。こうした一連の作業こそがテクニカル分析の最も重要な部分なのである。そして残念ながら、最も多く見逃されてきた部分でもある。
 テクニカル分析を勉強しておられる方々は多くおられるが、それでもなかなか最終的な結論が出せない方が多いように思う。トレードにおける最終的な結論は、「売る、買う、休む」の3つしかない。だから最終的には、それがはっきりとわかる形に作り直してやれなければならない。ここではトレンドということだけに焦点を当てて説明したが、実際の売買においてはトレンドの方向性の認識だけではなく、それ以外にもっと多くの認識を必要とする。最終的にはこうして再構築された、いくつかの単純なデータに基づき、「売る、買う、休む」の決定を下すのである。
結論が出ない方々は、おそらくこの単純化と再構築のプロセスのいずれか、あるいは両方とも欠如しているはずである。ご自分が採用しておられるテクニカル分析は、いったい何のために用いているのかを、どうか今一度、考えてみて頂きたい。

<テクニカル鞘取りのまとめ>

 では最後に、テクニカル鞘取りのまとめをフローチャートにして紹介しておく。


 このようにして考えてみれば、何と単純なことだろう。所詮、人間が理解して判断できる要素の数は限られているのである。少なくとも、私の頭で理解できることは、この程度のことでしかない。そして実際の売買においては、これで十分なのである。

図1:ガソリン−灯油、先限つなぎ終値鞘


図2:「スイングHL」、「スイングWave」で単純化


図3:「スイングHLトレンドIndex」に再構築


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